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犯罪被害者遺族の声を聴く
私の心理士としての活動のひとつに「犯罪被害者、ご遺族の支援」があります。
被害者支援センターを中心に、犯罪の被害に遭われた方々、ご遺族へのトラウマケアを担当させていただいています。
ひょうご被害者支援センターでは、電話相談・面接相談、利用できる機関の紹介などの支援活動を行っています。
この活動を支えていただく、ボランティア電話相談員の養成講座(入門編)が2日間にわたり神戸市内で実施されました。
昨日は、朝から4コマの講座が実施され、そのうちの1コマ「犯罪被害者遺族の声を聴く」のコーディネーターを務めさせていただきました。
5名の犯罪被害者ご遺族が、それぞれに体験されたことをエネルギーを使ってお話しくださいました。
「なぜ、大切なうちの子が? なぜ私の大切な家族が? 殺されなければならなかったのか?」
犯罪被害者遺族になってしまったことで、精神的・身体的に受けた影響、人生・生活設計が狂わされてしまったこと
犯罪被害者遺族を取り巻く社会制度がまだまだ不十分であること
犯罪被害者遺族には”終わり”はこないこと
加害者は刑務所の中できちんと自分の犯した罪と向き合っているのだろうか?
加害者は自分の犯した罪を悔い改めて出所してくるのだろうか?
有期刑の加害者はいつか必ず社会へ戻ってくるので、その存在に脅かされ続けること
犯罪の被害者遺族に対する社会的理解のなさゆえに受ける2次被害の数々
「殺された人にも落ち度があったのではないか」
「殺された人があんなことをしなければ殺されていなかったのに」
「あんな人だったから被害に遭っても仕方ないね」
などという間違った情報が報道、流布されることによって間違った理解をされ、亡くなった方の尊厳が踏みにじられる
突然犯罪の被害者遺族になってしまい、仕事ができなくなって生活の糧を失ってしまう
そんな中で発生する裁判費用や弁護士費用
損害賠償請求が下ってもそれが履行されることはほとんどなく、そのことにより新たに発生する訴訟の問題(さらに訴訟の費用が発生する)
(世間からは、損害賠償請求が下りると、大金がご遺族に支払われたと思われてしまいますが、実際は1円も支払われることがないケースがほとんどなのです)
そしてなによりも
大切な家族の奪われた命は2度と蘇って生きて戻ってこないこと
ご遺族にとって、事件に”終わり”は一生こないこと
たくさんの大切なことを5名のご遺族がエネルギーを使ってお話ししてくださいました。
受講された方々にこの思いがしっかりと伝わり、正しい理解がなされ、相談員としてご活躍される時にこの思いが役立つことを願います。そして、社会全体に「明日、次の瞬間、自分も同じ立場になるかもしれない」という認識で、犯罪被害者、ご遺族の置かれる立場、社会制度のさらなる整備が必要であることに理解が広がることを願います。